就活が終わって1か月が経った。


今までの鬱憤を晴らすかのように遊び、中々読む時間の取れなかった本や、見ることの出来なかったDVDを見るなどしていた。


就活が本格化する約2か月前、僕の最も尊敬する人物にいつも挙げられるSteve Jobsが亡くなった。


僕はあらゆる意味で、彼を今の世界を作った人物だと考えている。


例えば、マウスでアイコンをクリックして何かを展開する。


この当たり前の概念はゼロックスのパロアルト研究所がAltoとして作ったものであるが、実際に世に広めたのは言うまでもなくAppleである。


2007年にAppleが作ったiPhoneも言うまでもなく全く新しいデバイスであり、今発売される携帯電話の殆どはiPhoneクローンみたいなもんである。


まぁ、その話は今回は置いといて本題である。

そのジョブズが亡くなって、すぐに公式の伝記が発売された。もちろん僕はこの伝記を発売日に予約して購入している。

で、一周は流し読みした。


実はジョブズがまだ生きていた2006年頃、僕は彼の伝記(非公式)を既に読んでいる。iCon〜偶像復活〜といったようなタイトルだったと思う。

思えば、あの頃からジョブズの凄さに気付き、Appleの製品発表をネットで夜中に見るようになり、iPhoneの発表もリアルタイムで見たのであった。


その伝記から約5年経って彼は亡くなったわけだが、その間にはもちろんiPhoneやiPadの発表もMacbook airの発表もあったわけで、かなり大きな変化があったし、その間にAppleは世界最大のエレクトロニクス企業へと急成長を遂げた。


で、そんな伝記を数冊読んでジョブズは時に残虐であるほどのカリスマ性を持っていることを認識し尊敬していたわけだ。


そして就活が終わって、僕の行く会社が決定した。奇しくもAltoという形でマウスという発明を行っていながら実用化に失敗した企業グループである。(ちなみに伝記の中でSONYやHPらと共にAppleに負けた会社として取り上げられる)。


そうなると自分のとこのカリスマに興味が湧いてくる。

ということで、本屋を歩いていて見つけたのがこの本である。

小林陽太郎 ― 「性善説」の経営者
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小林陽太郎(愛称はトニー)という人物そのものを僕は以前から知っていた。言わずと知れた財界のドンである。

しかし、恥ずかしながら僕は彼がこの会社のトップを数十年務めてきたことは知らなかった。


ということで読んでみた感想としては、まず、小林陽太郎自身の話はそれほど多くは登場しない。

どちらかと言えば、富士ゼロックス社の50年を追った社史に近いかもしれない。そこには、米ゼロックスと富士写真フィルムが合弁でこの会社を立ち上げた経緯や、『ダントツ』の新製品、倒産の危機、現在の会社の問題点に至るまで事細かに書かれている。


この本を読んでわかったのが、経営者の小林陽太郎はSteve Jobsと殆ど正反対のタイプであること。

本のタイトルが示す性善説という言葉に表されるように、時に横暴なカリスマ性を発揮して事業を進めたジョブズに対して、彼は信頼や人柄を武器に周囲と協力して会社を大きくしていったことがわかる。


どちらも偉大な人物であるが、自分が働きたいのは小林陽太郎の下だろうなぁと思った。ジョブズは大好きだけれども、これは多分外部の人間だから言えるんだろう。笑


そしてもう一つ、現在の富士ゼロックスは間違いなく苦境に立たされているということ。これは覚悟はしていたが、小林陽太郎の言葉で表現されるとやはり焦燥感が出てくる。

富士フイルムとの関係や、事業環境、社風など、現在変革期にあるのは間違いないようだ。


富士フイルムがきっちりコツコツ真面目な会社であれば、富士ゼロックスはお祭り騒ぎ的に勢いとスマートさでドーンっと物事を進めていく会社であると本の中で表現されている。


待遇の良さなども、親会社である富士フイルムの以降でだんだんと失われていくというのは、どの社員も言っていたし、これまた覚悟はしていたが、やっぱり嫌だなぁ。


そりゃ待遇はいい方がいいものね。



さて、今日はこれからthe band apartのライブである。楽しみやで!